AppNote XRF3072: NEX CG IIによる下水汚泥の分析
我が国の下水道事業では1年あたり約7,760万トンの汚泥(下水汚泥)が発生しており、このうち乾燥重量ベースで約75%が再生利用されています。主な用途としては、バイオマスとしての下水汚泥の性質に着目した肥料としての緑農地利用、セメント原料や乾燥煉瓦、ブロック等の建設資材、固形燃料としての利用等が挙げられます(参考:”つながる ひろがる” 環境情報メディア環境展望台)。このような資源活用を適切に行い、環境負荷を低減させるためには、汚泥中に含まれる特定有害物質の量を正確に分析することが重要です。
エネルギー分散型蛍光X線分析(EDX)装置NEX CG II(ネックスシージーツー)では2次ターゲットを用いた偏光光学系を採用し、高PB 比での高感度分析を実現しました。これにより、ppmレベルの鉛(Pb)、カドミウム(Cd)といった有害金属を高い精度で検出・定量することができます。また、スタンダードレスFP(ファンダメンタル・パラメータ)法を利用したRPF-SQX(Rigaku Profile Fitting -Spectra Quant X)プログラムに搭載している散乱線FP法では、蛍光X線で分析することが難しい有機物成分の影響を自動で補正できるため、主成分組成を正確に知ることが難しい汚泥試料でも正確な定量分析を行うことができます。