AppNote B-XRD1126: XRD-DSC同時測定によるチョコレートの結晶構造観察
柔らかくてなめらかな口溶け感のチョコレートを作るために、テンパリングという作業が行われます。テンパリングは脂質の結晶化温度を意図的に変化させて、味や風味を最もよい状態にすると同時に安定な結晶多形をより効率的に作るための工程です。チョコレート原料であるココアバターは副格子構造の違いにより、いくつかの多形を有します。その中でも、Ⅴ型は安定な多形で、融点が高く、チョコレート製品として最適な結晶相と報告されています。Ⅴ型チョコレートのみを選択的に形成させるためには、テンパリング速度の制御が重要です。ここでは、XRD-DSC同時測定法を利用し、テンパリング速度によるチョコレートの結晶構造と結晶化温度を調べました。