Skip to main content

リガクジャーナル

リガクジャーナル 2022年 10月 53巻 2号 通巻118号

Image

リガクジャーナル 2022年 10月 53巻 2号 通巻118号

空気中の水分子を吸収・放出して繰返し蓄熱可能な層状 二酸化マンガンのX 線回折測定 ―低温廃熱を回収・再利用できる蓄熱材料の発見―

岡本 範彦 (東北大学金属材料研究所), 李 弘毅 (東北大学金属材料研究所), 市坪 哲 (東北大学金属材料研究所), 畠山 拓也 (東北大学大学院工学研究科)

我々の研究グループは,層状構造を有する二酸化マンガン(birnessite, δ-MnO2)が,大気中の水分子を層間に挿入・脱離するインターカレーション機構によって放熱・吸熱し,低蓄熱温度,高蓄熱エネルギー密度,高レート特性,高サイクル特性など蓄熱材料に求められる諸特性をバランス良く兼備することを発見した。

本稿では,この層状二酸化マンガンの高温安定性および水分子の脱離挿入に伴う結晶構造変化をX線回折測定により解析し,その優れた蓄熱特性を熱重量・示差走査熱量測定により評価した例を紹介する。

3D ED/MicroED専用機XtaLAB Synergy-EDによる ナノサイズ結晶構造解析

伊藤 翔 山野 昭人

1 μm以下のナノサイズ結晶から単結晶構造解析が可能なMicroED/3D EDが注目を集めている.

本稿では,著者 らがこれまでに行った測定例および応用例を中心に紹介する.

粉末X線回折法 基礎講座 第5 回定量分析

葛巻 貴大

粉末X線回折法は,様々な結晶性物質を対象とした分析法として広く利用されている.

本稿では,X線回折法を用 いた定量分析法のうち,RIR(Reference Intensity Ratio)法とRietveld法について,その基礎と実際の評価例を述べる. RIR法は,回折ピークの積分強度と,データベースなどに登録されているRIR値を基に定量分析を行う.本手 法では,定性分析が終わると同時に迅速な定量分析ができる.ただし,選択配向などにより,ピークの強度比が データベースと異なる場合には,正確な定量を行うことは困難となる. Rietveld法は,結晶構造から得られた計算パターンを実測パターンにプロファイルフィッティングすることによ り,結晶構造を精密化する手法である.この時得られるスケール因子と結晶構造を用いることにより定量分析が 可能となる.本手法は,選択配向を持つ試料や複雑な回折パターンを持つ試料についても,正確な定量分析がで きる.また,本手法と,内部標準法,PONKCS(Partial Or No...

Middle angle X-ray scattering: MAXS を活用したヒト抗体のコンフォメーション変化の3次元分子可視化

松本 崇 山野 昭人 佐藤 孝

X線小角散乱(Small angle X-ray scattering: SAXS)は,溶液中の蛋白質のサイズや形状を分析するための手法とし て知られている.標準的なSAXSでは,q=0.25 Å-1 程のデータを使用する.このため,SAXSでは,対象分子の サイズの変化,凝集,おおよその分子の外形といった情報しか得ることができない.

一方,q=0.30~0.65 Å-1 程 の中角領域のX線散乱は,分子内のドメイン間距離や二次構造間距離といった溶液中の分子構造及びコンフォ メーション変化を解析するための重要な情報を含んでいる.この中角領域のデータを用いることで,より詳細な...

ヘリウムガスを使用しない液体試料の蛍光X線分析

円子 友理

ヘリウムの供給減少および需要増加により,現在ヘリウムガスの入手は困難になりつつある.蛍光X線分析に おいてヘリウムガスは液体試料の分析で使用されることが多い.液体状態のまま測定する液体法ではヘリウムガ スが必須となるが,固体として試料を処理することで真空雰囲気下での測定が可能となる.

本稿では真空雰囲気 下で測定するための試料処理法として,溶液試料をろ紙に滴下して乾燥させる点滴法,オイル試料を固化剤と混 合し固化させる油固化法を示した.

全散乱データを使った原子スケールの構造解析

吉元 政嗣

これまで全散乱データは,2体分布関数(PDF)を算出するためのデータという位置づけであった.しかし,全散 乱データを使うことで,材料の物性値や特徴量を抽出できることが分かってきた.

本稿では,全散乱データを使っ た2つの新しい取り組みについて紹介する.1つ目は,全散乱データを使った原子スケールの材料の密度推定法で ある.ここで提案した方法で得られたSiO2ガラスやその他の材料のミクロな原子数密度は文献で報告されている 値と誤差5%未満で一致する結果となった.2つ目は,結晶性材料の全散乱データに基づいた局所構造の推定につ いて,Reverse Monte-Carlo(RMC)法を適用し,その際,測定データに現れる回折ピークの計算に,装置関数など のパラメーターを一切必要としない方法を考案した.その方法を適用して推定したマンガン酸リチウムの構造モ デルから,MnO6八面体に特徴的な構造歪みが再現された.

X線CT再構成の基礎 逐次近似法の原理と応用

太田 卓見

本稿では逐次近似法を用いたX線CT再構成の原理と応用を紹介する.複数の実測データを用いて,従来使われ てきた再構成法に比べて,逐次近似法では高品質な再構成画像が得られることを示す.

エネルギー分散型蛍光X線分析装置 ―進化した偏光光学系EDX― NEX CG II

NEX CG II(ネックス シージー ツー)は,リガク の偏光光学系EDX (エネルギー分散型蛍光X線分析装 置)“NEX CG”をベースに開発された,次世代のハイ エンドEDXです.

最新のSDD検出器の搭載による高 感度化(従来比最大5倍)により,多くの産業で需要が 高まっている微量重金属,ハロゲン分析の要求に確実 に応える1 ppm未満のLLD(検出下限)を実現しまし た.特に環境分析や産業廃棄物,リサイクル原料,電...

新しいデザインで一新された 熱分析測定・解析ソフトウェア ―Vullios®―

測定・解析ソフトウェアは,分析装置を使用するう えで最もユーザーに近い存在であり,その操作性の良 し悪しは目的達成の効率にも影響を与えます.

リガク では,より良い操作性とさらなる機能向上を追求した 新測定・解析ソフトウェア「Vullios」を発売しました.

"MILabs ワンプラットフォーム型 in vivo イメージング・ソリューション VECTor/U-PET/U-SPECT/ U-OI/U-CT"

2021年8月にリガクグループへ加わったMILabs B.V. (本社:オランダ,以下「MILabs」)は,非臨床試験向け 画像装置分野におけるグローバルリーディングカンパ ニーです.マウスやラットなどを用いる非臨床試験で は,ヒトを対象とした臨床試験に進む前の段階として, 生きた小動物体内(in vivo)で創薬候補物質の有効性, 安全性,毒性などを評価します.

非臨床試験で使用される代表的な画像装置には, PET(Positron Emission Tomography), SPECT(Single...


和文リガクジャーナルのバックナンバーは、全て会員サイトで閲覧頂けます。
リガクジャーナルに関するご質問・お問合せはこちら: journal@rigaku.co.jp