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粉末X線回折法 基礎講座 第6回 結晶子サイズ評価

54巻1号通巻119号(2023年4月)
12-16
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小西 真晶

粉末X 線回折法は単一の情報だけではなく,様々な情報を引き出すことが可能である.粉末X 線回折法基礎講義第5 回では「定量分析」に関して述べた.第6 回では,「結晶子サイズ評価」について述べる.

結晶子サイズ評価で広く使われている解析法の1 つが,シェラー法である.シェラー法は,結晶子サイズ分布や格子歪がないと仮定し,1本の回折ピークの幅からシェラーの式を用いて簡易的に結晶子サイズを算出する.こちらの手法は,正確な結晶子サイズを得るにあたって幅補正を行うために幅標準物質の測定が必要になる.

一方で,FP(Fundamental Parameter)法を利用した結晶子サイズ評価は,装置由来のピーク幅の広がりを計算し,補正することができる.本手法は,結晶子サイズが300 nm 以下の場合,光学系条件や測定装置に関わらず数nm程度の精度で解析することができる.また他の測定手法とも相関があり,正確度の高い結晶子サイズとその分布を算出することが可能である.さらに,100–300 nm の大きな結晶子サイズについて,結晶子の異方性を考慮したに評価することができる.

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