Skip to main content

静的構造のさらに先へ.X線溶液散乱: MAXSによる非リン酸化型ヒト由来キナーゼ: MAP2K4の調節機構時に起こりうる大胆な動きの解明

リガクジャーナル 2023年 10月54巻 2号 通巻120号
16-26
Image
松本 崇, 山野 昭人, 村川 優, 深田 はるみ, 澤 匡明, 木下 誉富

 

X線小角散乱(small angle X-ray scattering: SAXS)は,溶液中の蛋白質のサイズや形状を分析するための手法とし て知られている.標準的なSAXSでは,q=0.25Å-1 程度以下のデータを使用する.このため,SAXSでは,対象分 子のサイズの変化,凝集,おおよその分子の外形といった情報しか得ることができない.一方,q=0.30–0.75 Å-1 程の中角領域のX線散乱は,分子内のドメイン間距離や二次構造間距離といった溶液中の分子構造及びコンフォ メーション変化を解析するための重要な情報を含んでいる.この中角領域のデータを用いることで,より詳細な 分子の挙動やコンフォメーション変化を可視化することができると考えられる.この重要な中角領域の情報を含 む溶液散乱を“middle angle X-ray scattering: MAXS”と名付けた.本稿では,MAXSを用いた構造アンサンブル解 析により明らかとなった,溶液中のヒト由来キナーゼ:MAP2K4の構造の“大胆な動き”ついて紹介する.

Rigaku Journal article pdf