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アプリケーション例:微小、微量試料の定性分析

何ができるのか?

試料が小さかったり微量の場合でも、アクセサリを使うことで試料ホルダへのセットが容易に行えます。ここでは、プリント基板(電子素子)の端子と河川の堆積物を例にご紹介いたします。

 

測定例1

1-1 プリント基板(電子素子)の端子
廃品プリント基板の足(接続端子部分)の破片、約1×5mm角の定性分析をおこないました。この結果、Au,Cu,Ni,Co,Sr などが検出されました。

・試料調整

アクリル容器(CatNoRS200,200-1)を用い、ネジ部(直径5mm)に試料片を両面テープで貼り付け、ネジを回して試料位置を試料マスクの面に合わせました。
図1-1-1 試料調整

・測定条件

計数時間 : 重元素 10sec  軽元素 20sec.
分析試料 : 日本鉄鋼協会製 高炉スラグ 他   計5点
測定雰囲気 : 真空
試料マスク : 30mmφ

測定結果および考察

検出元素 : Au,Cu,Ni,Co,Fe, Sr (RhはX線管からのスペクトルです)

ブランクテスト(試料容器のみの測定)では微量のNi,Feが検出される程度ですので,上記の元素はすべて試料から検出されています。Srはプリント基板の高分子材料から検出されたものと思われます。紙面 の都合で記載していませんが,軽元素関係ではCa,K,Cl,S,Si,Alなどが検出されています。
図1-1-2 プリント基板端子の定性分析
図1-1-2 プリント基板端子の定性分析

 

測定例2

1-2 河川堆積物(NBS1646)
10mg程度の粉末試料を分析後粉末のまま回収する方法として,河川堆積物について真空雰囲気で定性分析を行いました。この結果 ,Zr,Sr,Rb,Brなど21の元素が検出され,Cu,Ni,Cr等の数十ppmの元素も明らかに検出されました。測定後,試料はほぼ全量 回収できました。

・試料調整

1-1の場合と同様にネジの先端に両面テープを貼り,試料粉に押し付けて試料を付着させ測定することもできますが,測定後の試料を回収するためSW型微量 試料容器(Cat.No.RS1340)を使用しました。試料量は約10mgです。
図1-2-1 試料調整
試料容器の上に薄膜(6μmポリプロピレン)を置き容器の内周にピンホールを2ケ所開けます。次に,試料を中心部に置きその上から薄膜(厚さ1.5ミクロンマイラー)を被せ試料容器蓋で固定します。試料は薄膜でサンドイッチ状態になります。ピンホールは薄膜間の空気を抜くためです。また,試料表面 の1.5ミクロンマイラーはNa等の軽元素も測定するためです。組み上がった容器は蛍光X線分析装置付属のホルダに入れて測定しました。

・測定条件

計数時間 : 重元素 10sec  軽元素 20sec.
分析試料 : 日本鉄鋼協会製 高炉スラグ 他   計5点
測定雰囲気 : 真空
試料マスク : 30mmφ

測定結果および考察

検出元素 : Zr, Sr, Rb, Br, Zn,Cu, Ni, Fe, Mn, Cr, Ti, Ba, Ca, K, Cl, S, P,Si, Al, Mg, Na(RhはX線管からのスペクトルです)

測定チャートを図1-2-2に示しました。図中のブランクは試料容器のみを分析した結果 です。検出された主な重元素とNBS1646の標準値との比較を表1-2-1に示しました。

図1-2-2 河川堆積物の定性分析-1
図1-2-2 河川堆積物の定性分析-2
図1-2-2 河川堆積物の定性分析
表1-2-1 検出元素と NBS1646の標準値

検出元素 標準値(μg/g) 検出元素 標準値(μg/g)
Zr ---- Ni 32
Sr ---- Fe 3.35%
Rb ---- Mn 375
Br ---- Cr 76
Zn 138 Ti 0.51%
Cu 18 Ba ----

---- 標準値の記載なし

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