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粉末X線回折法 基礎講座 第5 回定量分析

リガクジャーナル 2022年 10月 53巻 2号 通巻118号
10-15
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葛巻 貴大

粉末X線回折法は,様々な結晶性物質を対象とした分析法として広く利用されている.

本稿では,X線回折法を用 いた定量分析法のうち,RIR(Reference Intensity Ratio)法とRietveld法について,その基礎と実際の評価例を述べる. RIR法は,回折ピークの積分強度と,データベースなどに登録されているRIR値を基に定量分析を行う.本手 法では,定性分析が終わると同時に迅速な定量分析ができる.ただし,選択配向などにより,ピークの強度比が データベースと異なる場合には,正確な定量を行うことは困難となる. Rietveld法は,結晶構造から得られた計算パターンを実測パターンにプロファイルフィッティングすることによ り,結晶構造を精密化する手法である.この時得られるスケール因子と結晶構造を用いることにより定量分析が 可能となる.本手法は,選択配向を持つ試料や複雑な回折パターンを持つ試料についても,正確な定量分析がで きる.また,本手法と,内部標準法,PONKCS(Partial Or No Known Crystal Structure)法,RIR法とを組み合わせる ことで,非晶質相の定量分析も可能である.

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