AppNote B-XRD1155 : シームレス多次元ピクセル検出器を用いた電池正極材料中の微量成分検出
硫化物系固体電解質を用いた全固体リチウムイオン電池(全固体電池)の正極材料には、固体電解質層との界面安定性向上のため、微量なコーティング成分が含まれていることがあります。代表的なコーティング成分である LiNbO3 は、非晶質・結晶質のそれぞれでリチウムイオン伝導度が異なり、非晶質の方が高いイオン伝導度を有します。したがって、電池特性の評価にはコーティング成分を含めた結晶相分析が必要になります。しかし、Cu線源を用いたX線回折法では、正極材料中の遷移金属由来の蛍光X線によりバックグラウンド強度が上昇するため、微量成分の検出には課題が残ります。本測定例で紹介するシームレス多次元ピクセル検出器 (XSPA-400 ER)は、従来の検出器よりも高いエネルギー分解能を備えているため、蛍光X線によるバックグラウンド強度の上昇を抑えることができます。このため高PB(peak to background)比のデータが得られ、微量成分の回折線を高感度に検出することが可能です。ここではXSPA-400 ER を用いて、LiNbO3 でコーティングしたLi ( Ni1/3Co1/3Mn1/3 ) O2(以降、NCM111 とします)の測定を行いました。