AppNote B-XRD3003: 粗大結晶粒からなる電磁鋼板の 残留応力評価への試料揺動の効果
電磁鋼鈑、アルミ合金、ステンレス鋼、溶接部材、鋳造材など、多くの金属材料において、数十 μmを超える大きな結晶粒(粗大粒)が形成されることがあります。この場合のX線回折パターンは連続的なデバイ環ではなくスポット状の回折線を示すため、回折ピーク位置の変化を観測する残留応力の評価は難しいと言われてきました。X線回折に寄与する結晶子の数を増やしてプロファイルを平滑化する方法としては、試料に対するX線照射面積を大きくする方法と、試料に対するX線の入射角度をある角度範囲で変化させる「揺動」という方法があります。ここでは、これら2つの方法を用いて粗大結晶粒を有する電磁鋼鈑の残留応力測定を行い、その効果を評価しました。