AppNote XRF1039: 波長分散小型蛍光X線分析装置による ASTM D6443-04 に準拠した潤滑油分析
潤滑油は基油に添加剤を混合することによって様々な特性,機能が付与されます.したがって,必要な性能を保証するためには,潤滑油製造工程において添加剤の濃度管理を行うことが非常に重要です。
蛍光X 線分析法は,その高い精度と試料前処理の簡便さから,基油・添加剤・製品のいずれにおいても,元素定量分析手法として普及しています.蛍光X 線分析法における油系試料の前処理は,一般に薄い高分子フィルムを張ったプラスチック容器に試料を注ぐだけです.誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-OES)などのような分析方法とは異なり,蛍光X 線分析法では化学分解,抽出,連続希釈といった手間のかかる作業を必要としません。米国試験材料協会( ASTM International ) の分析規格であるASTM D6443-03 は,蛍光X 線分析装置のなかでも波長分散型装置(WDXRF)が持つ高い精度,分解能及び軽元素の検出感度に鑑み,WDXRF の使用を規定しています。